Heaven~第一章~

無言の車の中には洋楽が流れ、窓の外の景色を見ていると切ない気持ちになって行く。

誰かと一緒に居るのに、一人で居るように感じてしまうのが一番嫌いだった。
そこにはお互い存在しているのに、存在していないような……


「椿、」

「……」

「何機嫌悪くなってんだよ」

学みたいに上手く切り替えなんて出来ない。
ズルズル気持ちを引きずってしまう。

「シカトすんなよ」

学の大きな手が私の髪に触れ、クシャクシャと髪を乱す。

「ちょ、ちょっと!」

学の手を払うとチラッと私を見て「シカトなんてすっからだよ」と口角を上げて笑う。

気を使ってくれているのは分かるけど、それにのって笑えるほど私は大人じゃない。