Heaven~第一章~

きっと私の為だ。
私が知らない所で学はこうして私を守ろうとしている。
私が居るからきっと辞めるんだ。

それから学と話をした。
ここに来た時は答えてくれなかったこと。
どう言う経緯で堕天使に入ったのか。
今まで沢山の人に迷惑をかけ、傷つけて来たか、

懐かしむように「好き勝手やってたからな」と笑った。

学が羨ましい。

私には懐かしむ思い出なんて一つもない。
どれもこれも思いだしたくないものばかり。

"恐怖"と"絶望"
あの家にはそれしかなかった。
毎日、自由になることばかり考えていた。

父親の顔色ばかり伺う母親。
父親の期待に答えようとしていた兄。
そんな二人にも当たり前のように手を挙げていた父親。

本音なんて言えない。
だから、心なんていらなかった。
心なんてあるだけ邪魔になった。

"期待"と"希望"
あの家にはそんなの存在しなかった。
毎日、心を殺すしかなかった。