Heaven~第一章~

チュッと夕べのように左肩にキスを堕とす。 
そして古傷を確かめるように、一つ……また一つ……

その行為に錯覚しそうになる。
クラクラと眩暈が気がおかしくなる。

「椿、」

名前を呼ばれるたび酸欠になりそうなくらい苦しくなる。

何も気がず、
ただキスを堕とす……――

「大丈夫だ。怖がるな……」

学は気付いていた。

「椿は一人じゃない」

学を呼んだあの店から、

「俺が居る」

私がずっと震えていたことを……――

「椿、」

「……学。ごめん」

……――ごめんね。
何も言わなくてごめんね。

ポロポロとこぼれ落ちる涙に学は気づかないフリをしてくれていた。