Heaven~第一章~

学に背中を向けるようにソファーに座って上着を脱いだ。
外気に曝された肌が少し寒い。

背中には学の気配を感じる。
ゆっくり私の後ろに近づいて「腫れてんな」とそこをスーっとなぞる。

「切り傷はないから湿布でも貼っておくか」

「……うん」

ヒヤッとした感覚に「冷たっ」と体が強張る。

「な、椿」

「ん?」

「キス、して良いか?」

「な、何言ってんの?」

慌てて振り向こうとしたけど、それより速く学が私を後ろから抱きしめた。

「ちょ、ちょっと学」

「怖がるなよ……」

「怖がってなんかないよ、」

「椿……」

学の息が首筋を掠める。