Heaven~第一章~

しばらく同じ体勢で居るとガチャガチャと玄関から音が聞こえ、誰かが入ってくるのが分かった。

ガチャッとリビングのドアが開き「起きてたのか」と学がビニール袋をいくつもぶら下げる帰って来た。

「あっ、うん」 

「体、大丈夫か?」 

そう言ってリビングにあるテーブルの上に袋を置いた。

「まぁ、一人では歩けるよ」

「そっか、」

「学は、買い物?」

「あぁ、どっかのバカが傷なんてつくからよ」

袋の中の物をテーブルに並べながら笑う。

消毒液に絆創膏。
包帯に湿布。
痛み止めの薬。

それは全部私のための物だった。

「ごめん……ありがとう」

「悪いと思うなら、もう無理はするなよ」

「分かった」

誰かに心配されることが、
こんなに苦しくて切ないことだなんて知らなかった。