Heaven~第一章~

私の覚悟なんて所詮この程度。
些細なことで簡単に揺らいでしまう。

「おやすみ」

学に声をかけると「おう、」と私を見ずに右手だけ上げた。

その姿に淋しさを感じながら自分の部屋へと入った。
濡れた髪もそのままでベットに俯せになった。
ジワリと目尻に溜まる涙。

何も学に言えないくせに……
私は勝手だ。

学は他の男とは違う。
学は絶対に私を傷つけたりしない。

分かってる。
だけどまだ……

眠くないのに無理矢理瞳を閉じた。
現実から逃れるように無理矢理瞳を閉じた。

明日になれば……
明日になれば……

呪文のように唱える。

あの頃にもそうしていたように。