「私は玲さんみたいに可愛いくないし、女らしくもない。髪も長くないし、花柄のワンピースも似合わない。でも誰より、瑞希ちゃんのこと想ってる自信があるよ」
頬から何かが落ちた。
何度も何度も。
それが涙だと気づくには、少し時間がかかった。
「ゆめ…」
瑞希ちゃん、戸惑ってる。
困らせちゃったよ。
「ごめん。俺…」
何て言われるかなんて、わかってた。
「ゆめのこと、そんなふうに見れない」
そう言われるのはわかっていた。
覚悟ができていたからかな。
案外ショックではなかった。
「わかってるよ。これからも頼れる"お兄ちゃん"でいてね」
「ゆめ…」
「玲さんのこと、信じてあげてよ。事情ちゃんと聞いてあげた?瑞希ちゃんのことだからちゃんと聞かないで怒って帰ってきたんでしょ」
「…よくわかったな」
「私と喧嘩したときいつもそうだもん。だからちゃんとはなし聞いてきなよ。まだ電車、あるでしょ」
私は笑った。
ちゃんと笑えてたかわからないけれど、これが私の精一杯の瑞希ちゃんへの想いだった。
「ゆめ、ありがとう。玲のところへ行ってくるよ」
「うん、いってらっしゃい」
瑞希ちゃんは笑った。
もうこの笑顔だけで充分だと思った。



