「わあ、ヒトデって、生きてるんだねえ」



ちょっと冷たい水に手を入れて、黄色いヒトデに触ると、妙な感触とともに、ヒトデは少し、動いた。



「俺、化石みたいなのしか、見たこと無かったよお」



神宮寺さんは、子供のような、舌足らずな口調で、無邪気に笑った。



それから、水槽で出来たトンネルを二人で見渡した。



何だか、海の底にいるみたいだね。



あ、いわしの大群が、弧を描いて、ぐるぐる泳いでるね。



俺、熱帯魚とか、好きなんだ。



あ、あっちに、クラウンフィッシュいるよ。



完全に、デートというより、遠足状態の私たち。



た、楽しすぎる、水族館。



あっちこっち、忙しく歩き回って、時間を過ごした。