「神宮寺さん、わたし」
お酒を飲みながら、私は、本題に入った。早く、答えを言いたくて。
あっという間に、少し酔って赤くなった私に、神宮寺さんは、人差し指を自分の唇にあてて、いたずらっぽく、ちょっと待って、と言った。
「今、カラマリと、カルパッチョがくるから」
「みなお、赤くなってるよ。何か、お腹に入れないと」
暖かい神宮寺さんの声。
そっと頷いて、前菜をつまんだ。
それを眺める彼の視線は、昔のままだ。
かつて、私たちの間だけに存在した空気感をそのまま今夜も感じた。そんなことが起こるとは、夢にも思わなくて、びっくりした。

