天使が私に落ちてくる


心のうちの動揺を顔に出さないようにして、必死に考える。そうだよ、大丈夫。もう高校生なんだから、怖いことなんてないんだから。


「……ジ……ジェットコースターに乗っちゃう?」


ガクブルで天使に聞いてみると、それはもう嬉しそうな天使スマイルが返ってくる。


「僕がジェットコースターを好きなの覚えていてくれたんだね」


うん。そういえば、あたしがこんなにジェットコースターが怖いのは、三回続けて天使にジェットコースターに乗せられたらからだった。怖い怖いと泣き叫ぶあたしを、親は見捨ててカフェテリアでお茶してたんだ。

へらっと笑みを浮かべてみせるけれど、怖くてぶるぶる震えてしまう。きっと顔も強張っている。

大丈夫。高校生といえば、体はもう大人なんだから!きっとガマンできる!




重い足を引きずってジェットコースターの列に並ぶけれど、横を悲鳴を乗せて高速で走っていくジェットコースターを感じながらの待ち時間は拷問でしかない。

待つ間に、怖くなってしまって列から離脱する小学生を見ながら、自分は大人だと言い聞かせ、平常心を保つように頑張っている。