「あの、手つないでて勉強できないんじゃない? 」

「今日は教科書読んでるから」


右手で結香ちゃんと手をつないでいるから心配されたけれど、本当は両手が使える。もともと左利きだったのを右手も使えるようにしたからで不便はない。

でもそれはまだ教えない。

いつ結香ちゃんが気付くだろう。


驚いてぷりぷり怒るかもしれない。それで知らなかった僕のことをもっと知りたいと思って欲しい。


「帰りもずっと手をつないでようね」


初めて会った時に結香ちゃんが見つけてくれた「天使」みたいな笑顔をつくる。


その天使の笑顔の下の欲望なんて打ち消すくらいの笑顔。


赤くなった結香ちゃんに満足して、またお互いの勉強を始める。


ゆっくりじっくり結香ちゃんを攻めていく。長い長い初恋を味わいながら。