「今、○北先生のご本を読んでいるんだけど、結香ちゃんも見たい? 」

「見たい。読んだら貸して」


おねだりする結香ちゃんもカワイイ。


必死に見上げてくる、うるうるの目とぷっくりした唇がすこし開いていてそそる。


「それから今日、結香ちゃん家に寄らない? 母さんがタルトタタンを焼くんだって」

「やーーん。いくいく」


体を揺らしてきゃあきゃあ喜んでいる結香ちゃんには悪いけれど、ヤバい下半身が。

勝手に脳内変換された結香ちゃんにのし掛かっている自分を慌てて打ち消す。

結香ちゃんへの餌付けも完璧だ。


ここまで囲い込むのにどれだけ苦労をしたか。


公認として認められなければ逃げられるとわかっていたし、まずは恋心を認識して欲しかった。


「じゃあ一緒に帰ろうね」


机の下で手を握ったら、やっと恥ずかしそうに頷いた。