前から歩いてきた女子を避けるために、天使があたしを左側によせる。肩に軽く触れていた手がすべるように腕を伝い、手のひらを握る。
そっと天使の顔をうかがえば、はにかんだ笑顔を浮かべていてとろけてしまいそうだった。
何か嬉しいことでもあったのか?
それでも天使が笑っているとドキドキする。急に喉がかわいたので、天使の手を離してポケットから飴を出して食べる。
ちょつと落ち着いた。
その時、右側から視線を感じた。
眉毛を下げてきゅーんと鳴きそうなわんこがいた。
「あ、ごめん飴食べたかった? 」
「ううん…」
ごそごそポケットを漁るとリンゴとぶどうとみかん味ののど飴が出てきたので、選べるように目の前に差し出す。
「結香ちゃんと手をつないでいたかった」