「どんなことでもいいから、相談してね」
「……うん。ありがとう」
そしていつの間にか世話を焼くのはあたしじゃなくて、天使のほうになってる。
天使は、白鳥になったあひるの子で、あたしはただのあひるの子みたいだ。
一生懸命水足をばたつかせても、白鳥とあひるでは比べることもできないのに。
「それでは二学年スタートします。よーい……」
パァンというピストルの音とともに一斉にスタートが切られる。
ぼんやりしていたあたしも、あわあわと走り出す。
どうか! どうか変な借り物に当たりませんように!
トラックを半周して借り物カードを拾うと、
『キス』
と書かれていた。



