どうしようなんだかいい匂いがする。こんなの持ってたら、顔面が崩壊してしまう。 意識してキリッと受け取る。 「ありがとう。」 少女マンガのイケメン並の雰囲気を醸したつもりだ。 アデューとウインクして去りたい。 「あれー小田じゃん」 「ああ……田崎」 ここでまさかの田崎。 「なに、辞典忘れてんの」 ぐいぐい寄ってきた田崎は、耳元でにやりと笑って囁いた。 「お前も悪よのう」 天使から辞典を借りたことについて、だ。