そして残念なことだけど、あたしはパパに良く似ていた。丸っこい鼻とか、ぽってりした唇だとか。


ひとことも話さない司くんに飽きて、あたしは女の子がおままごとを始めたほうにいくことにした。


「ママ、あっちいってくる」

「いーわよ。仲良くしてね」


ママは司くんのママと絶賛お話し中だった。「最近、引っ越してきてまだこの街のことが良くわからないんです…」という司ママに、「私が案内しますよー! いいスーパー知ってますから!! 」なんてマシンガントークが繰り広げられようとしていた。


その時、強い視線を感じて司くんを見ると、真っ赤な顔でなにか話したそうにぷるぷる震えていた。


見たのは一瞬で、すぐにあたしはおままごとのほうが気になって、「まーぜーてー」と言いながら走って行ってしまった。


天使はママのスカートにつかまりながら、真っ赤な顔で唇を噛んでいるなんて知らないで。