そのこぶしはあたしに当たらなかった。


恐る恐る目を開くと、目の前は予想もしていなかったことになっていた・・・。




あたしにこぶしを向けていたはずの孝也が、雅斗に止められていたんだ――。




「なん、で・・・?」



あたしの瞳からは、おかしいぐらいに涙があふれていた。



「助けにきたよ、小悪魔さん。」


あまりにも優しい雅斗の微笑みを見ると、さっきまでの恐怖はスゥーッと消えてしまった。