桜舞う季節

~白馬村~

改めて日本の狭さを実感してしまう。僅か一時間で着いてしまうなんて。

「ここが‥白馬村‥」
「今4月よね‥?」

そう思うのも無理はない。あちこちにまだ雪がたくさん積もっているのだから。

「着いたら分かるとは言っていたけれど‥」

その時、ひとりの女の人が歩いてきた。

「東海寺紅音さんね。話は聞いているわ。」
「えっ‥。」

驚きを隠せない私を前に、女の人の名前は『真由美』だと教えてくれた。

「実はね、私は幼いあなたに会ったことがあるの。あまりにも幼かったから覚えていないよね?」
「はい‥すみません。」

謝ることじゃないわ、と言って、真由美さんは私たちを公民館へ案内してくれた。

「前に来てくれたときはまだ五歳だったかしらね、ここでそり滑りをしていたのよ」
五歳‥あまりにも前のことすぎて、覚えていなかった。

「あの時はまだ紅愛ちゃんも元気だったのにね‥」

紅愛ちゃんが亡くなったのは六歳のころ。入学式の前日だった、と母さんは教えてくれた。
つまり、ここの場所は、紅愛ちゃんにとって、最後の思い出の場所だったのかもしれない。

「預かっていたのはこれだけ。他には何も教えてくれなかったわ。」

そういって渡してくれたのは、消しゴムくらいの青い宝石だった。

「時流れの箱と一対だってことは知っているけど‥ごめんね、それ以外は何も知らなくて‥」
「いえ!とんでもない!ありがとうございます!!」

お礼を言って、私達はまた駅に向かった。

「これで、どうするんだろうね?」
「さあ‥でも、とりあえず電車に乗ろう。また紅愛ちゃんからのメッセージがあるかもしれないから。」

あと少しで、‥全ての謎が解ける‥!

でも、なんのために紅愛ちゃんはこんな事を‥?

疑問が残る中、私達は帰りの電車に乗り込んだ。