クレーマーギャル

暫く待っていると町子のテーブルにステーキが並べられていった。

「きゃーぉぃしそぅー♡」

「愛美ちゃんの方がー笑」

「ゃーだー♡」

謎のイチャこら展開を開始した二人を無視して町子はステーキにナイフで切らずにがぶりついた。

康はその瞬間を見逃さなかった、町子が手をフォークに伸ばす際に短く黒い髪をステーキへと入れた瞬間を。

(あんにゃろう慣れた手つきで自然に入れやがって…早すぎてそら証拠も取れねぇわな……)

町子はガツガツと豚のように食いわざとらしくあっと声を漏らした。

「ん？どしたの町子さん……？」

真面目な女の子が不思議そうに町子を見つめる。

「これ髪の毛入ってるぅーなーんーでー？」

わざとらしく妙にでかい声でそう言う。

(てめぇが入れただろう雌豚！)

康は怒りで握り拳を作り、町子をキッと睨み付けた。

「ちょっとー店員さーん偉い人かこれ作った人呼んでよーはーやーくー！」

「かっかしこまりました！！」

店員が慌てふためきながらもコックを呼ぶと、その人物はゆっくりと姿を現した。