「うっわぁめっちゃ帽子深いじゃん、顔見えねえし、帽子外せよ笑」
「いやっあのすいません……」
「いいから早くしろよ!!」
町子が無理矢理店員の帽子を奪い取る。
世界が止まって見えた。
店員の本来あるべき物がそこには無かった。
そう、店員は禿げていた。
「ぶっ…………あははははは!」
一瞬の静寂に町子の笑い声が響き渡った。
それに続き皆も口々に笑い出す。
「禿げてるじゃねえかこのおっさん!!」
(ATMじゃねえかこのお兄さん!!)
「まぢぅけるぅ私の方がかゎぃぃ♡」
(まじうけるーハゲの方が可愛い♡)
「あのっやめようよ……」
「そうだよ、おっさんが可哀想だろてか早く頼もうぜ、あの、これとこれとこれ……」
(おっ真面目な男女が初めて出てきたな)
康は心の中でつっこんでいると真面目な男女が初めて出てきたものだから少し感心した。
「かしこまりました。」
店員は涙目になりながらも帽子をまたかぶり厨房へと戻っていった。

