「花火大会かー…行きたいなー…」
水野ひかり。17歳。17年間彼氏ナシ。だから、花火大会に一緒に行ってくれる人なんているわけがない。
親友の愛は、彼氏と。お隣の咲ちゃんは、家族と。みんなみんな大切な人がいて、私となんか一緒に行ける人はいない。
私は、最後の手段でアイツを誘ってみることにした。
「蓮夜っ!花火大会一緒に行こー!」
「…なんで?」
橋本蓮夜。17歳。幼なじみで、お隣さん。
私と蓮夜は、生まれた時からずっと一緒にいて、幼稚園、小学校、中学校、そして高校もずっと同じで、蓮夜の顔を見ない日は1日もなかった。
「なんでってさー…。花火大会行きたいからに決まってるじゃん…」
「…そうじゃなくて、なんで俺と?」
「そ、それは…」
「…それは?」
ヒッー!顔が近い!
私は別に、蓮夜のことが好きではない。ただ、コイツは世の中で言う『イケメン』なのだ。小さい顔に、大きい目。筋の通った鼻に、薄い唇。おまけに、スタイルもいい。182センチという長身に、長い手足。誰もが憧れるイケメン君なのだ。
