好きですよ、先輩。(仮)



声の主がヒールの音を響かせながらこちらに走ってくる。


あたしはそのタイミングを見計らって


「あっ、あのっ…


助けていただけないでしょうかっ!」


いまだ起き上がることのできない状態で春斗さんの下から精一杯声を振り絞った。


「大丈夫っ…!?」


そういってあたし達の元に駆けつけてくれたのはとても綺麗な女性だった。


「あっ…ありがとうございますっ」


なんとかその女性のおかげで春斗さんの下から抜け出す。


制服をさっとはらって改めて彼女に「ありがとうございますっ」頭を下げる。


よく顔を見れば光建設との打ち合わせの際、何度か顔を見たことがある女性だった。


「いいのいいのっ!


それより…片平君、どうしちゃったのっ?」


そうだった…!


お礼を言うことで精一杯だった頭を一度落ち着ける。