「はぁ……。」 春斗さんが帰ってから、社外のベンチで萩を待っていたあたしはもう何度目かもわからないため息をついていた。 誤解を解きにいったはずなのになぜか話は何も進まずに問題だけが増えてしまった。 「春斗、か。」 ためしに彼の名前を呼んでみる。 彼に対する思いとは裏腹になぜかその響きはあたしを安心させてくれる。 「…って、何考えてるのっ、あたし!」 おかしな自分の思考に思わず声に出してしまう。 「咲?」