「初めまして。」


彼の最初の一言はありきたりな一言だった。
それ以外にどんな言葉あるというわけでもないが、何故か私は腑に落ちなかった。

ずっとメッセージでやりとりをしていたせいだろうか?
ちらりと彼を見る。


細い目が厳つい印象を与えるが、その目をくしゃりとし笑顔で話しかける部分が人懐っこく思えた。

「とりあえずお店に入りましょう。何か食べたいものある?」


そう提案してみる。

「お任せします。」

「それ困る。私もなんでもいいし任せる。」


そんなやり取りを続けながら近くの店を覗く。
どうやらお互いが優柔不断で、特に希望がないためお店を選ぶだけで30分近くかかった。

「あの店でどうです?」

彼のその一言で一件の居酒屋に入ることになった。