1人だけそれらしい人物を発見した。

白いシャツにGパン。
身長は私よりも20㎝は確実に上。
サングラスをかけて携帯を弄っている。

正直、私より歳上にしか見えなかった。
人違いだったら嫌なので私はメッセージを送った。

『右を見て!』


するとその人物はキョロキョロと辺りを見渡す。やはり彼が待ち合わせの相手なのだ。
何となく話しかけずらいがそばへとよってみる。

「ねぇ。」

それだけ一言話しかけた。だって名前を知らないのだから。

「ねぇ、お兄さん。」

ようやく彼の顔は私をとらえる。
そして携帯を持った手で私を指差す。
ゆっくりとサングラスをはずし胸ポケットへとかける。そしてもう一度視線を私にもっていく。

「小さいですね。」

彼の第一声はこれだ。
それは多分私の身長のことをさしている。
貴方は目が小さいですね、と言いそうになり堪える。代わりに、

「遅れてごめんなさい。待ちましたか?」

と口角を軽くあげ謝罪をのべた。
きっと顔は若干ひきつっていたはずだ。なぜなら、私は身長について言われる事が何よりも嫌いであるからだ。