翌日、いつものように出勤し、
いつもと同じ場所で事務作業をしていると
後ろから肩を叩かれた。
「花井さん!」
つい癖で名字で呼ぶと、
瑞樹さんは口に人差し指を当てて
しーっと声を出した。
「会社では内緒ね、俺らのこと。」
瑞樹さんは小声でそう言ってにっこりと微笑むと、
手を振って事務室を後にした。
「何、よかった感じ?昨日」
瑞樹さんがいなくなるとすぐに百々子が耳打ちした。
「まあね」
私は少しにやけながらそう答えると、
百々子はパッと顔を輝かせて
私の両手を取った。
「おめでとう、ゆき。本当によかったね!」
私たち以外誰もいない事務室の中に
百々子の声が響いた。
「ありがとう、百々子のおかげだよ。百々子がいなかったら私彼氏いない歴6年に更新してるところだった」
私に合わせるように、
百々子もにっこりと笑ってどういたしましてと言った。


