「ねえ、永山さん最近、バイトの子と一緒に帰ってるよね?」
「あー、はい」
「どんな関係?」
伊藤さんの顔は真剣だ。
「元生徒ですよ。私昔ちょっとだけ教師やってたんで」
「え!そうなの!?ってかそれだけ?」
「はい、それだけです」
そう、それだけだ。
「本当に?」
「はい、本当にそれだけです。あとは、マンションの部屋が隣なんです。歳下でもガタイはいいし、女一人で帰るより安心でしょ?」
「まじか…そっか。でも、それなら俺が送るよ。あの子、バイトだから10時にはあがりだろ?待つ時間あの子も危ないんじゃない?」
「伊藤さんは会社出てすぐ真反対じゃないですか。帰りも遅くなるし、廉には中で待っててもらってるんで大丈夫です」
「廉…?」
あー、しまった。
つい癖で名前を言ってしまった。
「名前…?で呼んでるんだ?」
「あー…私生徒のこと名前で呼ぶタイプだったんですよね」
少しだけ、嘘をついた。


