「どんな人?」
「どんな人って言うか…花井さん」
「えっ!」
急に身体中が熱くなるのがわかった。
花井瑞樹(はないみずき)さんは
私がここに入社した頃から
ずっと憧れ続けた
高嶺の花のような先輩。
顔もかっこよくて、背も高く、
先輩にも後輩にも、同僚にも
分け隔てなく優しい紳士だ。
「うっそ、まじで!?なんで!?」
興奮する私をよそに
百々子はお弁当を食べながら淡々と答えた。
「この前中学校の5期ぐらい合同の同窓会あってさ、そこで花井さんが中学校同じだったことがわかって、それから結構仲良くなったんだよね。」
花井さんは、ここの職場では
かなり上の上司になるが、
私の就職が遅かったので
年齢的には2つ歳上なだけだ。
「それで、話してたら花井さん、ゆきのこと可愛いって思ってたって言ってたからね、こんなチャンスないなと思って」
神様だ。
「百々子〜!!!」
「お礼はちゃんと実ってからね。わかったから、早くご飯食べて。休憩終わるよ?」
こうして私をいつも上手く扱う百々子は
実は私より1つ年下なのだ。