「…もう1時だよ」
気づけばもう1時で、
廉もビールは缶2本だけでやめていた。
「もうそんなかー。そろそろ帰ろうかな」
あんなに酔いの勢いに任せたような話し方をしていながら
廉は思いのほかすぐに立ち上がり、
真っ直ぐと扉の方へ歩いて行った。
「ゆきちゃん、今日はありがとうね。…またね。なんかあったらすぐに連絡、してね?」
「うん。わかってる。ありがと」
玄関先までついて行った私を振り返って
廉は私の頭に
大きな掌をポンと乗せた。
「おやすみ」
静かにそれだけ言うと、
近所迷惑にならないように
ほとんど音も立てずに玄関を閉めた。


