Rain Black





でもユキ兄は勿論、ミリアにも行く事すら大反対される。
『危ないから』と。



「一度でいいから、見てみたいのにな―――…」



私はユキ兄にそう言いながら、上目遣いをしてみた。

決して自分の顔に自信があるわけじゃない。
けれど、ミリアが『ユキにおねだりするときには、そうしてみな?』と言ったから。

でも、


「……ダメだからな」



ユキ兄はそっぽを向いて、期待した言葉は言ってくれなかった。
悲しいことに効かなかった。

でも、なぜか顔が赤いユキ兄。



「えー…」
「ふふっ」
「…何でもだ」