すると、再びノックする音が聞こえた。

誰かは何となくわかっていたから、『どうぞ』と言う。
そう言って入ってきたのは、


「おはよう、マリア」
「おはよう、ユキ兄っ」



やっぱり予想通りの人物で。

兄の幸弥【ゆきや】、通称・ユキ兄。
高校3年生、17歳。
ミリアと同様、モデル体型で185を超えている。
髪はディープブラウンで、ワックスで髪を遊ばせずに自然な髪型。

まさに今時の男の子。
とても優しくて、自慢の兄だ。


そんなユキ兄でも、“暴走族”と言うものに入っている。
なんて言うチームかは知らないし、教えてくれないけれど。

今日も二人からは、甘ったるいにおいが漂う。
そのにおいがした時には、完璧チームの集まりがあったんだと言うことが分かる。

だからこそ、


「ミリアもユキ兄もさっき帰ってきたの?」



と聞くと、『さすがマリアだね』と苦笑いする二人。