私は教室を出て、優奈のクラスへと向かう。

こういう時、友達が隣のクラスって有り難いと思う。
クラスの中を見渡しても、優奈の姿はなかった。
私はクラスの中の人に、優奈の行方を尋ねようと『すみません』と声を掛ける。

すると、


「わっ!マリアちゃんだ!」
「かっわい――!」



返答とは違う答えが返ってきた。
でも『可愛い』と言われるのは素直に嬉しい。
だから、素直に「ありがとう」と受け取ると、


「キャ――ッ!」
「やばいっ」
「キュン死しそうだわ、私!」



何て言いながら、顔を隠したり、クラッと眩暈がしたような素振りを見せるクラスの子たち。
一体、どうしたんだろうと思いながらも、私はアイドルじゃないんだけどなあと思いながら、その歓声を受ける。