Rain Black





そんな瑛梨ちゃんに、私は、


「……あんまり、優奈を悪くは言いたくないの」


……―――私は優奈の親友だから。

だから優奈を、疑いたくないというのが本音だ。
優奈が盗み聞きをしていないと言う根拠はない。


「……気を付けてね?マリア」


急に瑛梨ちゃんはそんな事を言う。
私はビックリして、「…どうしたの、急に?」と問う。
けれど瑛梨ちゃんは、


「……――ううん、やっぱり何もない。気にしないで」
「…うん。じゃあそろそろ行くね。バイバイ、瑛梨ちゃん」
「……うん」


そう言って教室を出ようとした瞬間、


「……―――ッマリア!」



瑛梨ちゃんが私を呼び止めた。


「……どうしたの?瑛梨ちゃん」


私は後ろを振り返り聞くと、


「……これだけは信じて。あたしは何があっても絶対に、―――マリアの味方だから」


瑛梨ちゃんはそう言った。
真剣な眼差しに耐えられなくなった私は、


「フフッ、わかってるよ。私も瑛梨ちゃんを信じてるし、瑛梨ちゃんの味方だよ?」


私は瑛梨ちゃんに笑顔を向けながらそう言った。


「……引きとめてごめん、じゃあね。マリア」
「うん。バイバイ」


私は教室を出た。