Rain Black





「瑛梨ちゃ……」
「あたし…あたしはずっとマリアには言いたかった……!」



『隠し事なんて、マリアにだけはしたくなかった…っ!』と瑛梨ちゃんは涙を流しながら訴えるように言った。
心からの、訴えだと私は思った。



「でも、優奈みたいに拒否されるのが怖くて…マリアは優しいから拒否はしなくても、もう“友達”としては見てくれないんじゃないかって……っ」



ずっと泣きながら言う瑛梨ちゃん。
私は、瑛梨ちゃんのそんな気持ちに気付いてあげられなかった。
とても不甲斐ない気持ちに襲われた。

だからきっと、紗希ちゃんが言ってたあの話はきっと、どこかは違うのだろうけれど強ち間違ってはいないのだろうと思った。



「だから、『“暴走族だから”って変な偏見はつけちゃいけない』って言ってくれたマリアには言うから…っ言うから、あたしから離れて行かないで…っ!」



今までに見たこともないような瑛梨ちゃんの姿に、私は、こんなにも苦しんでいたんだと思った。
そしてポツリと話し出したのは、瑛梨ちゃんの過去だった。


中学時代、兄が暴走族に入ってるってだけで無視されたり、『櫻井 瑛梨に関わったら苛められる』だとか訳のわからない噂で、今まで仲の良かった子も離れて行ったこと。
だから高校は必死で勉強して、過去を知らない人たちが集まるこの城南に入学したそうだ。