もしもあの話が本当なら。
私が想像つかないような、未知の世界の話になるのだろう。
私は、どんな話でも受け止めよう。
そう意気込みながら、そう言った。
「……わかった。じゃあ、あたしがいつもサボってる中庭に行く?そこなら人通りも少ないし、先生なんて来ないから」
そう、瑛梨ちゃんが提案してくれた。
『じゃあ、そこにしよう』と瑛梨ちゃんの提案してくれた中庭に行くと決め、私達は教室を出た。
体育の太田【おおた】先生に後で怒られる事を覚悟して、クラスの子に『体調不良で休むって言っておいてもらえる?』と言って、人生で初めてのサボりを経験することになる。
でも体育なんかよりも、瑛梨ちゃんの方が大切だから。
私達が中庭に着いた頃には、もう1時間目のチャイムが鳴っていた後だった。
けれど私たちは、しばらく無言状態だった。
そんな無言状態を打ち切ろうと、私は『瑛梨ちゃん』と呼びかける。
そして、瑛梨ちゃんは私の方を向く。
「私、瑛梨ちゃんのこと、本当に好きだよ」
「…どうしたの、いきなり」
いつも通りに言う瑛梨ちゃん。
でも、どこか違う。
どこが違うのかと聞かれればそれは言えないけれど、何かどこかが違う。
いつもの瑛梨ちゃんじゃない。
私の知ってる、私の大好きな瑛梨ちゃんじゃない。
そう確信したからこそ、言う決意ができた。