「はぁ……言うと思った」
「マリア、“炎狼”も知らなかったの…」
上から瑛梨ちゃん、優奈。
“炎狼”なんて初めて聞いた。
そんなに常識的なことなのだろうか。
「あ――…うん、アイドルグループの人達?」
私がそう聞くと、
「ナイスボケ!マリア!!」
「……マリア、本気で言ってるの?」
呆れ顔の瑛梨ちゃんと大爆笑している優奈。
あれ?
私、変なこと言ったかな?
……“炎狼”って……何?
私はそれが顔に出ていたのだろう。
「マリアはそういうのに疎くて当然よね。“炎狼”って言うのは、いわゆる暴走族の一つなのよ」
「あの真夜中にバイクで国道をエンジンふかして走って、喧嘩とかする集団よ!それくらいはマリアだって聞いたことあるでしょ?」
「……うん」
「その集団のチームの名前なのよ」
暴走族……。
一般的な一つの知識としては知ってる。
優奈の言ったように、真夜中に国道をエンジンふかして走り回る集団。
喧嘩ばかりするなんて、不可能じゃないのと私は思ってた。
けれどそれは、現実としてあるみたいで。
私もあり得ないと思っていたし、そんなことをするなんてとも思ってた。


