靴箱に向かっていれば、


「マリアっ、おはよう!」
「優奈!おはよう」



後ろから勢いよく、優奈が来た。


彼女は、麻生 優奈【あそう ゆな】。
身長は156cmと私と同じくらいで、髪はセミロング。

高校からの友達で今ではもう親友と呼べる仲だと思ってる。
2年になってクラスが離れて、隣のクラスになってしまったけど。



「今日って理科、全クラス一斉にテストなんでしょ?」
「そうなの?」
「らしいよ!今更原子記号の確認テストだって!」
「酸素はO2だとか窒素はNってやつでしょ?」
「そうよっ!本当、今更って感じでしょ。原子記号分かってなかったら城南【じょうなん】に受かってないよっ」



ブツブツと文句を言う優奈を宥めながら、いつものように他愛ない話ばかりして靴箱に向かう。

この私の通う県立城南高校は、県下の県立高校でも進学校として有名で、偏差値も県下で1、2を争う超エリート進学校。

中学校の通知表は、5段階中5を取っているってのが当たり前、常識という感じで、最低でも4を取っていなければ絶対に入れない学校と言われている。


超有名難関私立大学や最難関国公立大学への進学率も半端なく高いし、かと言って、就職率が低いのかって言ったらそうじゃない。
大手企業から中小企業まであらゆる分野から就職内定がもらえる。

だから、そういったいろんな意味でこの学校は人気なのだ。

でも、そんなとこに入ったのも、私には奇跡って言っても過言じゃない感じ。
中学も私立中学に通っていたから、その学校の名前のおかげで入れたような感じだ。

とは言っても、成績だけは昔から良い私。
…―――だって、落とすわけにはいかないから。