その後、私はユキ兄と学校付近のコンビニの前で別れた。
見つかるとややこしいことになることは間違いなかったからだ。
これがいつものお決まりのパターン。


「ありがとう、ユキ兄」
「頑張って」
「うん」


私はユキ兄に背を向けて、学校に向けて歩き出す。

校門を潜れば、『結城さん、おはようございます』と声を掛けられる。
一人が私に気付けば、


「マリアさん!」
「マリアさん、おはようございます!」
「おはよう」



その周りにいた生徒が私に挨拶をしてくれて。
いつものように少し微笑み、挨拶を返す。
これがいつもの日常。

私はこの学校じゃ有名らしい。
だからこそこうして挨拶されるのだ。
正直、挨拶してくれた人の名前はおろか、学年すらも知らない。

目立つ行動とかして無いんだけど…。
でも、慕われているってことは嬉しいことだと思う。