ユキ兄に送ってもらっている時には、いつも思う。
優しいユキ兄に、相談したいと。
でも、どうしても言えなかった。

何度も何度も、言おうと思っていた事を胸の中にしまった。
言わないほうがいい事だと思ったから。

けれどそれと同時に増していくばかりの思い。


『私って、生きてる意味あるのかな』


……きっと、ユキ兄を困らすだけ。
…ホント、分からない。

…―――自分自身が。

今の生活に、満足じゃない。
むしろ充実してるし、満足してる。

一体、何の不満があるって言うの?



「……ねえ、ユキ兄」
「ん?」
「…――ううん、何でもない」
「なんだよ」



言ってしまえば、こうして笑っていられるのも、ユキ兄のバイクの後ろに乗せてもらっているのも、なくなってしまうかもしれない。
これは、今だけかもしれない。
明日からはもしかしたらこの生活もないかもしれない。

それがものすごく怖かった。