「……ユキ兄?」
エンジンをつけていないバイクに、なぜかもたれ掛かっている私服姿のユキ兄がいた。
「どうしたの?」
「送って行ってやるよ、学校まで」
「え…でも、学校は…?」
いくら私立高校だとはいえ、結構頭の良い有名な私立高校。
あまり休めないだろう。
けれど、『いいんだよ、まだ時間もあるしな』と言うユキ兄。
私は素直にお礼を言って、ユキ兄の優しさに甘えて、ユキ兄の愛用中のバイクで送って行ってもらうことにした。
…と言っても、1ヶ月に2、3回くらい学校まで送って行ってくれる。
だから、私専用のヘルメットまでユキ兄が買ってくれた。
白でピンクと黒のラインストーンがあしらわれている可愛いヘルメット。
そのヘルメットを被ったことをユキ兄は確認して、私の腰を掴んで後ろに乗せた。
なぜなら、ユキ兄のバイクはやけに高くて、私は乗れない。
「ありがと、ユキ兄」
「全然いいよ。可愛い妹のためですから」
カッコよくさわやかな笑みを浮かべ、ヘルメット越しにポンポンと頭を撫でる。
エンジンを付け、ユキ兄は自分の腰を私がしっかりと掴んだ事を確認して走り出した。


