Rain Black





「いいじゃないか、桂華」
「そうは言っても…」

「ミリアちゃんも幸弥くんも、年頃なんだから」



そう健志さんは桂華さんにフォローする。
『それはそうだけど』と言いながらも納得していない様子の桂華さん。

桂華さんは初婚じゃない。
健志さんとは再婚になる。

……ミリアとユキ兄は桂華さんの連れ子。
私は形的には健志さんの連れ子になる。

当時私が4歳、ミリアが5歳、ユキ兄が7歳だった。
でも、私達は分け隔てなく、同等に育てられてきた。

本当に感謝してる。

でも、


「……―――――私、そろそろ学校行ってきますね」



こういう時、私は少し居づらい。

本当の“家族”との壁。
私は、どうしたって本当の“家族”にはなれない。

だから私はその場から逃げるようにそう言った。



「あぁ、行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃい、マリアちゃん」



玄関でローファーを履いて、スクールバッグを持って出て行った。

外へ出ると、ビックリした。