私は“出来る子”なんかじゃない。
“出来る子”だったなら、どうしてお父様は私を捨てたの―――…。
そんな感情が私の中に出てきた。
……っいけない。
いけないと思っていても、そう思ってしまう。
桂華さんはそんなつもりで言ったんじゃないのに。
「……そうですよね!いつも通りしていれば大丈夫ですよねっ」
精一杯の作り笑いをして、そう返すことだけしかできなかった。
今の私にはいっぱいいっぱいだった。
けれど桂華さんは気付いていないのか、『マリアちゃん、いつものカフェオレでいい?』と聞いてくれて。
それにホッとしながら、『はい』と返事をする。
健志さんが、
「そう言えば、ミリアちゃんと幸弥くんは?」
『さっき帰ってきてただろう』と私に聞く。
「あ、私の部屋で一緒にいたんですけど…。帰ってきたばかりみたいだし、もしかしたら寝てしまったのかも……」
私がそう言うと桂華さんが、『……もう、本当にミリアと幸弥は……』と怒りを露わにする。


