Rain Black





下に降りるとまず洗面所に行って顔を洗い、そして歯を磨いた。
それからダイニングルームへ向かった。

すると、


「おはよう、マリアちゃん」



キッチンから顔を覗かせて、私に声を掛けてくれる。
いつもの、見慣れた光景だ。



「おはようございます、桂華【けいか】さん」



私はダイニングテーブルの席に着き、目の前の新聞を片手に、コーヒーを飲んでいる男性に、『おはようございます、健志【たけし】さん』と言えば、『おお、おはよう』と笑みを浮かべて言ってくれる。
それもまた見慣れた光景。

その2人は結城家の大黒柱、結城 健志さんと、その奥さんの桂華さんだ。

…私との関係は、義父と義母になる。



「今日はマリアちゃんの好きなチョコベーグルとシリアルヨーグルトよっ」



最近の私のブームなチョコベーグル。
これがないと、1日は始まらない。



「ホントですか?!嬉しいです!」



今はこうして笑っていられてる私だけど、

私が今こうして笑顔でいられるのは、健志さんのお陰だ。