私には“休める場所”というのものが生まれた時から無かった。

高くて質の良い、可愛くて綺麗なドレス。
キラキラした宝石。
綺麗な靴。
天蓋付きのベッド。
大きなグランドピアノ。

“部屋”と言う名の、“鳥籠”の中で私は物心がついた頃からずっと過ごしていた。

息が詰まりそうだった。
でも、そうするしかできなかったから。


幼い頃から私には“愛”なんてなかった。

ある日、聞いた母様の声。



『どうして…生まれてきてしまったの……っ』


泣きながら言っていたその言葉は、幼い私にはとてもショックだった。
けれど私はその気持ちに気付かないふりをしていた。

確か、その頃からだっただろう。

あの話が出てきたのは―――…。



『マリアを、1億で結城家に』



私は、鷹塔家の資金提供してもらう代わりになったのだから。