至近距離から、茶色の大きな目で睨まれた。

 おーっと、今のあたしって、へびに睨まれたかえる状態!?

 体がすくんで動けません。

 それでもやっと、震える口から言葉をしぼりだした。

「数えきれないくらい行ってます、けど……」

 その瞬間、

「は!?」

 と、眉をピクッと動かしたお兄ちゃんのドス黒い声が響いた。

「“けど”ってなんだよ? それぜーんぶ、”葉月センセー”のおかげじゃね?」

 うぉー、超間近!

 お兄ちゃんの顔が、あと10センチくらいでくっついちゃう! 

 ってくらいの至近距離から、お兄ちゃんは淡々とたたみかけてくる。

「だよな、違う? 反論とかある?」

「……っ」

 ありません、ありません。反論とかはありません。

 その通りです、お兄ちゃんのおっしゃる通りです。