「でも、俺は……。
その言葉を、心底ウゼーと思ってた」



「…………」



ぽつぽつと……。



遠くを見るような目つきで、絢斗はゆっくり話す。



「その頃の俺は、夢なんて叶うと思ったことはないし。
今のままの俺でいいとも思ったことなんかなかったから」



「…………」



「何者かになりたくて、でもなれないってわかってて。
矛盾の中でもがいてた」



「…………」