「つか、結愛。
それより、おまえ、思い出せたのか?」



マンガ原稿を前にしてイスに座るお兄ちゃんは、くるっとイスごと振り返ると……。



おっきな目を細めて、あたしを見つめた。



「……え?」



「絢斗とどこで会ってたのか」



「…………」



……って、お兄ちゃん。



それは……聞かないでほしいなぁ。



だって、まだ思い出せていないから。