もういないとばかり思っていた絢斗がいたから、ものすごーく驚いた。



「先になんか、行くわけねーだろ。
右も左もわからないおまえを、ひとり残して」



「……っ」



うぅ……。



優しい……。



「ありがとーっ!
絢斗ぉぉおおおおっ!!!」



「って、結愛。
大きな声を出すな」



絢斗は、廊下の左右に目を走らせた。