「ねえねえ、ちょっと一個聞いてもいい?」




「なに?」





「優苗って結婚したばっかの頃、肉じゃがの野菜そのままつっこんだりしてた?」




そんな相談、というか雑談のようなものをしていたのは夕方の医局。


広々とした窓からは夕日が照り込んでいる。




「なに、まさかそれ沙衣ちゃん?」




「………うん、そのまさか」




飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになって、必死に飲み込む。




「……悪い」




「いや、飲んでる大地にこの話をした俺が悪い」




「それにしても沙衣ちゃんって予想の斜め上をいくね」




「いや、斜め上どころか随分遠いとこ」