「何にもないや……」



赤ちゃん用の冷却シートも無ければ薬もない。


そもそもどうして発熱しているのか。




ひとりで判断するのが怖くなったわたしは、家の受話器を取って押しなれた順にボタンを押した。



『もしもーし、俺そろそろ帰るけど………どうかした?』



「愛永が………熱出しちゃって」



『え、発熱?………何でだろう』



「そうなの、だから不安で」



大地も分からないらしく、うーんと唸っている。



『突発?にしては早い気もするけど』




突発性発疹、というのは一児の母ならば知っているであろう病名。